地域内経済循環

概要

2017年版の環境白書(2017年6月閣議決定)では、経済・社会的課題が深刻化する中で環境政策を展開するにあたり、「環境保全上の効果を最大限に発揮できるようにすること」に加え、「諸課題の関係性を踏まえて、経済・社会的課題の解決」への効果をもたらせるように、政策を発想・構築することが重要であると指摘しています。その中で、経済・社会的課題の同時解決に資するものとして地球温暖化対策を位置づけており、統合的に推進していくことが望まれています。

地域における地球温暖化対策については、再生可能なエネルギーとして地域資源を活用することで、経済活性化や防災など地域の抱える課題の解決にもつながることが期待されています。

地域経済循環は、「生産」、「分配」及び「支出」の構成要素からなり、市町村毎の「産業連関表」と「地域経済計算」を中心とした複合的な分析により、これら3面からの地域内における資金の流れを俯瞰的に把握することができます。また、産業の実態(主力産業・生産波及効果)、地域外との関係性(移輸入・移輸出)等の可視化が可能です。この分析手法により、地域のエネルギー代金収支等を把握し、温暖化対策の立案に生かすだけではなく、同時解決に向け、地方創生関連等の業務などへの活用が期待されています。

2015年4月21日より、経済産業省と内閣官房(まち・ひと・しごと創生本部事務局)が共同で開発した、地域経済分析システム(RESAS:リーサス)が、提供されました。各自治体における人口減少、過疎化が構造的に進展し、疲弊する地域経済を真の意味で活性化させていくためには、地域の現状・実態を正確に把握した上で、将来の姿を客観的に予測し、地域の実情・特性に応じた施策の検討とその実行が不可欠です。本研究は、各自治体に設置されたまち・ひと・しごと創生本部と連携し、国が収集した地域経済に係わる様々なビッグデータ(人口動態、産業の強み、人の流れ 等)と、地域経済分析システムを利用し、効果的な施策の立案、実行、検証(PDCA)を支援します。