環境

概要

生物多様性とは、生きものたちの豊かな個性とそのつながりのことで、地球上の生きものは40億年という長い歴史の中で、さまざまな環境に適応して進化し、3,000万種ともいわれる多様な生きものが生まれています。また、私たちの暮らしそのものも、①生きものが生み出す大気と水(基盤サービス)、②暮らしの基礎(供給サービス)、③文化の多様性(文化的サービス)、④自然に守られた暮らし(調整サービス)といった多様な生物が関わりあう生態系からの恵み(生態系サービス)によって支えられています。しかし、人間活動による影響が主な要因で、地球上の種の絶滅のスピードは自然状態の約100~1,000倍にも達し、たくさんの生きものが危機に瀕しています。

1992年、国連環境開発会議(地球サミット)を契機として、生物多様性の保全のための包括的な枠組みの必要性をふまえ、生物多様性条約が採択され、その後、様々な検討・決定がなされてきました。

そして2010年には、愛知県名古屋市で開催された生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)において、これ以上生物多様性が失われないようにするための具体的な行動目標である「愛知目標」が採択されました。愛知目標の達成には、生物多様性や生態系サービスの現状や変化を科学的に評価し、それを的確に政策に反映させていくことが不可欠です。このため、世界中の研究成果を基に政策提言を行う政府間組織として「生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム(IPBES:Intergovernmental science-policy Platform on Biodiversity and Ecosystem Services)」が、2012 年4月に設立されました。このような世界の動きとともに、IPBESが活動の柱としている「科学的評価」、「能力養成」、「知見生成」、「政策立案支援」の4つの機能を、各地域においても適応し、科学的な見地から効果的・効率的な取組みが一層推進されることが期待されています。